その頃…
凛「真姫ちゃんとかよちんもおいでよ!」
真姫「穂乃果たちが修学旅行だからって対抗することないんじゃない?」
花陽「そうだよ、もう秋だよ」
凛「いいの! さあ泳ごう! せーの、いっくにゃー!」
スクールアイドル・μ’s。
これは、スクールアイドルの祭典・ラブライブ!で優勝を掴み取るために立ち上がった9人の少女たちの物語である。
その日は生憎の雨だった。
凛「止まないね…」
真姫「そろそろ練習時間よ」
凛「って言っても、今日もこの4人…もう飽きたにゃ」
にこ「それはこっちのセリフ!」
花陽「仕方ないよ凛ちゃん、2年生は修学旅行だし、絵里ちゃんと希ちゃんはその間、生徒会長のフォローを…」
絵里「そうよ。気合いが入らないのは分かるけどやることはやっておかなきゃ」
真姫「今日も生徒会?」
希「3人が戻って来たら運営しやすいように整理しとくって張り切ってるんや」
凛「え~っ、また練習凛たちだけ!?」
絵里「別に気にすることはないわ、じゃあね」
希「穂乃果ちゃんたちは野生のちんすこう探しに夢中でライブのことなんてすっかり忘れているやろうから…にこっち達がしっかりしといてね」
にこ「野生のちんすこうって何?」
花陽「さぁ?」
凛「はぁ~、沖縄かぁ、今頃穂乃果ちゃん達、楽しんでるだろうなぁ…」
それもその筈だった。だが…
穂乃果「って、何で雨なのー!」
ことり「台風直撃するかもだって」
その頃、沖縄では台風接近による嵐に見舞われていた。
穂乃果「絵里ちゃんだ、もしもし」
絵里「あ、穂乃果、どう? 楽しんでる?」
穂乃果「うん、それより何?」
絵里「今週末のイベントでちょっと相談があって」
その後…
凛「えぇぇぇっ、凛が、凛がリーダー!?」
絵里「そう、暫定でもリーダーを決めておいた方が纏まるだろうし、練習にも力が入るだろうって思って、もちろん穂乃果たちが修学旅行から帰ってくるまでよ」
希「穂乃果ちゃん達も連絡して相談した結果なんよ。ウチと絵里ちも皆、凛ちゃんがいいって、2人はどう?」
真姫「いいんじゃない?」
花陽「私も凛ちゃんがいいと思う」
凛「ちょ、ちょっと待ってよぉ、何で凛? 絶対他の人の方がいいよ、絵里ちゃんとか」
絵里「私は生徒会の手伝いがあるしそれに、今後のμ’sのことを考えたら1年生がやった方がいいでしょ?」
凛「だったら真姫ちゃんがいいにゃ。歌も上手いしリーダーっぽいし、真姫ちゃんで決まり!」
真姫「話聞いてなかった? みんな凛がいいって言ってるのよ」
凛「でも凛は…」
花陽「嫌なの?」
凛「嫌っていうか、凛はそういうの向いてないよ…」
にこ「意外ね、凛だったら調子よく引き受けるかと思ってたけど」
花陽「凛ちゃん結構引っ込み事案なところもあるから」
真姫「特に自分のことに関してはね」
絵里「凛、いきなり言われて戸惑うのは分かるけどみんな凛が適任だと考えてるのよ。その言葉、ちょっとだけでも信じてみない?」
凛「分かったよ、絵里ちゃんがそこまで言うなら…」
絵里「さあ、そろそろ雨も止みそうだし、放課後の練習始めて」
何気にここまで2年組が緩衝材になってて1年と3年だけでここまで絡んでなかったような・・・(え?1年生4人と3年生2人のことだよ?スットボケ)
やがて日は暮れ、練習を終えた凛たちは家路に就く。
凛「はぁ疲れるにゃー、やっぱり凛にリーダーは無理だよ」
花陽「そんなことないよ、きっとだんだん慣れていくよ」
真姫「そうよ、まだ初日でしょ」
凛「そんなこと言って2人とも自分がリーダーになりたくないから凛に押し付けたんでしょ?」
真姫「何言ってるの? 本当に向いてると思ったから凛を推薦したの」
花陽「そうだよ、私、穂乃果ちゃん達が別の人推薦しても凛ちゃんがいいって言ってたと思うよ」
凛「嘘だ…だって凛なんて全然リーダーに向いてないよ…だって、ほら凛、中心にいるようなタイプじゃないし…」
真姫「あなた、自分のことそんな風に思ってたの?」
花陽「そうだよ、μ’sに脇役も中心もないの。グループにいる限りみんな一緒だよ!」
凛「それはそうだけど、でも凛は別だよ。ほら全然アイドルっぽくないし…」
花陽「それ言ったら私の方がアイドルっぽくないよ!」
凛「そんなことないよ、だってかよちんは可愛いし、女の子っぽいし…」
真姫「はぁ~、余程の自惚れやでもない限り自分より他人の方が可愛いって思ってるものでしょ?」
凛「違うよ! 凛は違うの…引き受けちゃったし、穂乃果ちゃんが帰ってくるまではリーダーはやるよ。でも、向いてるなんてことは絶対ない!」
その頃…
凛「えええっ! 帰ってこれない!?」
台風の影響により空路が遮断され、穂乃果たちはファッションショーに出られなくなってしまった。
真姫「急な話ね」
にこ「でもやるしかないでしょ。アイドルはどんなときも最高のパフォーマンスをするものよ! にこっ☆」
絵里「ファッションショーだからセンターで歌う人はこの衣装でって指定が来たのよ」
凛「これを着て…歌う? 凛が?」
にこ「穂乃果がいないとなると、今はあなたがリーダーでしょ!」
凛「無理だよ。どう考えてもこんな女の子っぽい服、凛は似合わないもん」
真姫「普段はともかく、ステージじゃスカート履いてるじゃない」
凛「それは皆と同じ一緒だし、端っこだから、とにかくμ’sのためにも凛じゃない方がいい!」
希「でも実際、衣装は穂乃果ちゃんに合わせて作ってあるから凛ちゃんだと手直しが必要ないよね?」
凛「でしょでしょ、やっぱり凛じゃない方がいいよ! ね?」
希「この中で穂乃果ちゃんに近いとなると、花陽ちゃん」
花陽「私?」
凛「そうにゃ、かよちんなら歌も上手いしぴったりにゃー!」
絵里「確かに急遽リーダーになった凛に全部任せるっていうのも、ちょっと負担をかけすぎな気もするわね。花陽、どう?」
花陽「私は…」
凛「やった方がいいにゃ! かよちん可愛いし、センターにぴったりにゃ!」
花陽「でも凛ちゃん、いいの?」
凛「いいに決まってるにゃ!」
花陽「本当に?」
その頃…
穂乃果「イベントは大丈夫そう?」
絵里「ええ、センターは花陽で行くことになったわ」
穂乃果「花陽ちゃん? そうか…」
絵里「どうかした?」
穂乃果「あ、ううん、頑張ってね」
翌日。
凛「わぁー、かよちん綺麗!」
花陽「そ、そうかな…」
凛「うん、やっぱりかよちんが一番似合うにゃー! 頑張ってね! 凛、応援してるから!」
にこ「あなたも歌うのよ!」
希「予想通りぴったりやね!」
絵里「脇をちょっとだけ絞った方がいいかも知れないわね。さあ、後はやっておくから皆は練習行って」
凛「分かったにゃー、さあ行くにゃー!」
にこ「なーに急に元気になってんのよ」
凛「凛はいつも元気にゃー」
希「こんな感じかな?」
絵里「もう少しじゃないかしら…」
希「そうやね、この辺もっと絞った方がいいかな?」
その時、花陽は凛の行動に不審を感じていた。
穂乃果「それでどうするつもり?」
花陽「うん。よく分からなくて…真姫ちゃんにも言われたの。このままでいいのかって。でも凛ちゃん困ってるみたいだし…無理に言ったら可哀想かなって」
かくして、ファッションショーは本番を迎える。
花陽「すごいね」
真姫「さすがモデルね」
にこ「そ、そうね」
希「凛ちゃん、そろそろ準備せんと!」
花陽「凛ちゃん、私ね、凛ちゃんの気持ち考えて困っているだろうなって思って引き受けたの。でも思い出したよ。私がμ’sに入った時のこと。今度は私の番。凛ちゃん、凛ちゃんは可愛いよ!」
花陽「だって、私が可愛いって思ってるもん! 抱きしめちゃいたいって思うくらい可愛いって思ってるもん!」
真姫「皆言ってたわよ。μ’sで一番女の子っぽいのは凛かも知れないって。花陽の気持ちも分かるわ。見てみなさいよ、あの衣装! 一番似合うわよ、凛が!」
凛「初めまして、音ノ木坂学院スクールアイドル・μ’sです。あっと、本来メンバーは9人なんですが、今日は都合により6人で歌わせてもらいます。でも、残り3人の思いを込めて歌います。それでは一番可愛い私たちを見ていってください!」
凛、今こそ新しい自分を解放する時だ!
【Love Wing Bell】
ファッションショーで披露された楽曲。
当初は穂乃果をセンターとして披露する予定であったが、修学旅行中に発生した台風の影響で開催日に間に合わなくなったため、2年生組を除く6人で披露した。このため、穂乃果に代わって凛がセンターを務めることとなった。
凛ちゃんがあの衣装を着て
「1番可愛い私たちを見ていってください」って言うのもそうだけど,
かよちんが自分の思っていることを
あんなにハッキリと言ってるところや
真姫ちゃんの言動とか1年生の成長が
感じられて本当に好きなのよこの回
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