雪穂「あった!」
亜里沙「私もあった、雪穂!」
雪穂「亜里沙!」
雪穂・亜里沙「「やったぁ!」」
2人は音ノ木坂学院に入学する資格を得た。
それを何より喜んだのはやはりμ’sに憧れを抱く亜里沙だった。
所変わって、穂むら。
雪穂「ねぇお姉ちゃん、μ’sって、3年生が卒業したらどうするつもりなの?」
雪穂の問いかけに穂乃果の口は固まるままだった。
この先のμ’sの行く先など、まだ誰も考えもしていなかったのだ。
スクールアイドル・μ’s。
これは、スクールアイドルの祭典・ラブライブ!で優勝を掴み取るために立ち上がった9人の少女たちの物語である。
ついにラブライブ!の決勝まで後、1ヵ月を切っていた。
その間、μ’sは負担のかかるトレーニングを避け、体調維持に努めることになった。
凛「練習随分少ないんだね」
花陽「完全にお休みの日もある」
海未「はい、A-RISEの方にもアドバイスしてもらって、そういう日も設定してみました」
真姫「そういえば、亜里沙ちゃんと雪穂ちゃん合格したんでしょ?」
穂乃果「うん、2人とも春から音ノ木坂の新入生」
ことり「亜里沙ちゃん、ずっと前からμ’sに入りたいって言ってたもんね」
花陽「じゃあもしかして新メンバー?」
凛「遂に10人目誕生!?」
真姫「ちょっと、そういう話は」
花陽「卒業しちゃうんだよね」
絵里「ラブライブ!が終わるまではその先の話はしない約束よ。さあ、練習しましょ!」
海未「私も同じです。3人が抜けたμ’sをμ’sと言っていいものなのか」
ことり「そうだよね…」
穂乃果「何で卒業なんてあるんだろう」
にこ「続けなさいよ、メンバーの卒業や脱退があっても、名前は変えずに続けていく、それがアイドルよ」
にこ「名前を残していってもらう方が卒業していく私たちだって嬉しいの。だから…」
希「その話はラブライブ!が終わるまでしない約束よ」
にこ「分かってるわよ」
花陽「本当にそれでいいのかな? 亜里沙ちゃんも雪穂ちゃんもμ’sに入るつもりでいるんでしょ? ちゃんと答えてあげなくていいのかな? もし私が同じ立場なら辛いと思う」
凛「かよちんはどう思ってるの? μ’s続けていきたいの?」
花陽「遠慮してるわけじゃないよ。ただ、私にとってμ’sってこの9人で1人欠けても違うんじゃないかって」
真姫「私も花陽と同じ。でも、にこちゃんの言う事も分かる。μ’sという名前を消すのは辛い。だったら、続けていった方が良いんじゃないかって」
にこ「でしょ、それでいいのよ」
絵里「私は決められない。それを決めるのは穂乃果たちなんじゃないかって。私たちは必ず卒業するの。スクールアイドルを続けることはできない。だからその後のことを言ってはいけない。私はそう思ってる。決めるのは穂乃果たち。それが私の考え」
その後、今後のμ’sをどうすべきか
その答えを穂乃果たち6人は委ねられた。
穂乃果「絵里ちゃんの言う事は正しいと思う。来年学校にいるのは私たちなんだもん。私たちが決めなきゃ」
海未「自分に正直に本心でどうしたいのか考え、ちゃんと話しましょう」
その頃、亜里沙はμ’sの仲間入りを目指していた。
亜里沙「μ’sに入っても問題ないですか?」
雪穂「亜里沙、お姉ちゃんは本番直前なんだからあんまり邪魔しないの」
穂乃果「ごめんね、ゆっくりしてって」
そして、雪穂と亜里沙は…
雪穂「私はそうしたらいいんじゃないかって思うんだけどどうかな?」
亜里沙「うん」
雪穂の言葉は亜里沙は納得したような表情を見せた。
穂乃果「そうだよね、当たり前のことなのに、分かってたはずなのに、頑張ってね」
雪穂「うん」
亜里沙「はい」
穂乃果もまた、未来のスクールアイドルである雪穂と亜里沙にエールを送るのだった。
ある日曜日、突然、穂乃果たち9人が集まる。
穂乃果「よーし、遊ぶぞー!」
絵里「いきなり日曜に呼び出してきたから何かと思えば」
希「休養するんじゃなかったん?」
穂乃果「それはそうだけど、気分転換も必要でしょ? 楽しいって気持ちをたくさん持ってステージに立った方がいいし」
海未「そうですよ」
ことり「今日暖かいし」
花陽「遊ぶのは精神的な休養って本で読んだことあるし」
真姫「そうそう、家に籠ってても仕方ないでしょ」
凛「にゃー!」
にこ「何よ、今日はやけに強引ね」
穂乃果「それにμ’s結成してからみんな揃ってちゃんと遊んだことないでしょ、一度くらいいいかなぁって」
にこ「でも遊ぶって何するつもり?」
遊園地に美術館、アイドルショップなど、穂乃果たちの行きたい場所は山ほどあった。
穂乃果「行きたいところ全部行こう!」
にこ「何よそれ」
希「でもちょっと面白そうやね!」
絵里「しょうがないわね」
穂乃果「しゅっぱーつ!」
こうして、穂乃果たち9人で過ごす束の間の休息が始まった。
次に向かったのは、ゲームセンター。
穂乃果「あーん、負けた…」
にこ「うっふふーん、これで宇宙No.1ダンサーは私よ!」
花陽「前に負けたのが悔しかったんだね」
絵里「それで後は、穂乃果が遊びに行きたいところだけど」
穂乃果「私は海に行きたい! 誰もいない海に行って、9人しかいない場所で9人だけの景色が見たい」
穂乃果「あのね、私たち話したの。あれから6人で集まってこれからどうしていくか、希ちゃんとにこちゃんと絵里ちゃんが卒業したらμ’sをどうするか」
絵里「穂乃果…」
穂乃果「やっぱりこの9人なんだよ、この9人がμ’sなんだよ」
海未「誰かが抜けて、誰かが入ってそれが普通なのはわかっています」
真姫「でも私たちはそうじゃない」
花陽「μ’sはこの9人」
凛「誰かが欠けるなんて考えられない」
ことり「1人でも欠けたらμ’sじゃないの」
希「ウチも賛成だよ。当たり前やよそんなの。ウチがどんな思いで見てきたか、名前を付けたか、9人しかいないんよ。ウチにとってμ’sはこの9人だけ」
にこ「私がどんな想いでスクールアイドルをやってきたか分かるでしょ? 3年生になって諦めかけてて、それがこんな奇跡に巡り合えたのよ! こんな素晴らしいアイドルに、仲間に巡り合えたのよ! 終わっちゃったらもう二度と…」
真姫「だからアイドルを続けるわよ!」
真姫「絶対約束する、何があっても続けるわよ! でもμ’sは私たちだけのものにしたい! にこちゃん達のいないμ’sなんて嫌なの! 私が嫌なの!」
穂乃果「だってみんな、泣いちゃいそうだったから、あのままあそこにいたら、涙止めらなくなりそうだったから」
海未「穂乃果に1杯食わされましたね」
真姫「もう本気で走っちゃったじゃない」
にこ「そうよ、体力温存って言ってたのに使っちゃったじゃないの」
凛「かよちん泣いてるにゃ」
花陽「だって、可笑しすぎて涙が…」
凛「泣かないでよ、泣いちゃやだよ、せっかく笑ってたのに…」
真姫「もうやめてよ、やめてって言ってるのに…」
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