穂乃果「あけましておめでとう!」
海未「穂乃果」
ことり「まだ明けてないよ」
穂乃果「じゃあ、よいお年を?」
海未「それは別れの挨拶です」
海未「やっぱり今年も最後まで穂乃果は穂乃果でしたね」
ことり「きっと来年も穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんだと思うよ」
…その時である!
海未「あっ」
ことり「年が明けちゃった」
穂乃果「ん? 嘘!?」
スクールアイドル・μ’s。
これは、スクールアイドルの祭典・ラブライブ!で優勝を掴み取るために立ち上がった9人の少女たちの物語である。
やがて年明けを迎えると同時に穂乃果たちは神田明神へ初詣に向かう。
穂乃果「着替え中に年が明けちゃうなんて」
海未「ちゃんと出かける準備をしておかないからです」
穂乃果「新年早々怒らないで!」
花陽「あ、皆!」
穂乃果「おお、花陽ちゃん、凛ちゃん」
花陽「あけましておめでとう」
凛「おめでとうにゃ!」
穂乃果「今年もよろしくね!」
ツバサ「あら、あなた達」
穂乃果「あけましておめでとうございます」
ツバサ「おめでとう」
あんじゅ「初詣?」
海未「はい、A-RISEの皆さんも?」
英玲奈「ええ、地元の神社だしね」
その後、穂乃果たちは神社の前で願い事をかける。
凛「かよちんは何お願いしたの?」
花陽「秘密だよ」
凛「ことりちゃんは?」
ことり「もちろんラブライブ!優勝だよ」
凛「穂乃果ちゃん随分長いにゃ」
真姫「また欲張りなお願いしてたんでしょ?」
穂乃果「そんなことないよ。ただ私たち9人で最後まで楽しく歌えるようにって」
ことり「そうだね」
穂乃果「一番大切なことだもん。だから念入りにお願いしまする」
穂乃果「いたいた、希ちゃん!」
希「あら、あけましておめでとう」
ことり「忙しそうだね」
希「毎年いつもこんな感じよ。でも今年はお手伝いさんがいるから」
そのお手伝いさんはにこと絵里のことだった。
にこ「希、それこっち?」
凛「にこちゃん!」
にこ「何よ、来てたの? よいしょ」
亜里沙「お姉ちゃん!」
絵里「亜里沙、何お願いしてきたの?」
亜里沙「あのね、音ノ木坂に合格してμ’sに入れますようにって」
絵里「そう」
希「やっぱり一度みんなと話した方がええんやないかな、これからのこと」
にこ「そうね」
その頃、冬休み中に音ノ木坂学院ではヒデコたちが書類整理に当たっていた。
穂乃果「ごめんね、まだ冬休み中なのに」
ミカ「どうせ暇してたからいいわよ。それよりラブライブ!頑張ってね!」
穂乃果「うん」
ラブライブ!決勝大会では歌や衣装、踊り、曲の長さなどが自由で、更に会場やネット投票で優勝を決めるシステムとなっている。
にこ「いいんじゃないの、分かりやすくて」
花陽「それで出場グループの間では如何に大会までに印象付けておけるかが重要だと言われてるらしくて」
絵里「全部で50近くのグループが1曲ずつ歌うのよ。当然見ている全員が全ての曲を覚えているとは限らない」
にこ「それどころか、ネットの視聴者はお目当てのグループだけを見るって人も多いわ」
ことり「確かに全グループを一度に見るのも辛いかも」
海未「μ’sはA-RISEを破ったグループとして注目を浴びているので現時点では他のグループより目立ってはいますが」
希「それも本大会にある3月にはどうなっているかってことやね」
穂乃果「でも事前に印象付けておく方法なんてあるの?」
花陽「はい、それが大切だと言われているのが…」
その後、μ’sはキャッチフレーズが決まらずにいた。
ことり「なかなか難しいよね。9人性格は違うし、一度に集まったわけでもないし」
穂乃果「でも優勝したいって気持ちは皆一緒だよ」
かくして、穂乃果とツバサ、リーダー同士は場を移す。
ツバサ「ごめんなさいね、でもどうしてもリーダー同士、2人っきりで話したくて、練習頑張ってる?」
穂乃果「はい、本選ではA-RISEに恥ずかしくないライブをしなきゃってみんな気合い入ってます」
穂乃果「あのA-RISEは?」
ツバサ「心配しないで、ちゃんと練習してるわ。ラブライブ!って目標がなくなってどうなるかって思ってたけど、やっぱり私たち、歌うのが好きなのよ」
ツバサ「ただやっぱり、どうしてもちゃんと聞いておきたくって」
A-RISEは最終予選で全てをぶつけた末に潔く敗れ去った。
彼女たちはそのことに何の蟠りはない、そう思った。
だが、何故μ’sに敗れたのかその理由がいま一つ分からずにいた。
ツバサ「確かにあの時、μ’sは私たちよりもファンの心も掴んでいたし、パフォーマンスも素晴らしいライブだった。結果が出る前に私たちは確信したわ。でも何故それが出来たの? 確かに努力はしたんだろうし、練習も積んできたのは分かる、チームワークだっていい。でもそれは私たちと一緒」
ツバサ「むしろ私たちはあなたたちよりも強くあろうとしてきた。それがA-RISEの誇り、スタイル、だから負けるはずがない。そう思ってた、でも負けた。その理由を知りたいの」
ツバサはμ’sを突き動かしている原動力が何なのかを知りたかった。
それは穂乃果にもわからないことであった。
ツバサ「今日はありがとう」
穂乃果「ごめんなさい、なんかちゃんと答えられなくて」
ツバサ「気にしないで」
穂乃果「でも、A-RISEがいてくれたからこそ、ここまで来られた気がします」
その夜…
海未「μ’sを突き動かしてる原動力ですか?」
穂乃果「うん、私うまく答えられなくて海未ちゃんはなんだと思う?」
海未「そうですね、難しいですね。ただ、それがキャッチフレーズなのかも知れません。μ’sを一言で言い表す言葉、それはたぶんμ’sの原動力となる言葉でしょう」
穂乃果「ねぇ雪穂、雪穂から見てμ’sってどう思う?」
雪穂「さあ? ただ、応援しなきゃって気持ちには不思議となるんだよね。どんなグループよりも。それはお姉ちゃんだから地元だからとか関係なく」
穂乃果「応援しなきゃかぁ」
かくして、穂むらでは正月恒例の餅つき大会が開かれていた。
真姫「何で急に餅つきなの?」
希「在庫処分?」
穂乃果「違うよ、なんか考えてみたら学校の皆に何のお礼もしてないなぁって」
絵里「お礼?」
穂乃果「うん、最終予選突破できたのって、皆のおかげでしょ? でも、あのまま冬休み入っちゃって、お正月になって」
にこ「だからって、お餅にする必要ないじゃない?」
穂乃果「だって、他に浮かばなかったんだもん。それに学校の皆に会えばキャッチフレーズが思いつきそうかなって」
花陽「思いつく?」
にこ「お餅つきだけに」
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